ウィングカーは 1977年の ロータス78 が最初です。その後1983年に禁止されるまで、F1界をを席巻した空力技術です。他の誰も考えてなかったアイデアが、数年間とはいえ席巻してしまった稀有な例です。ロータスここにありってとこでしたね。
ボディー下面を翼をひっくり返した形状にし、下向きに揚力(車ではダウンフォースと呼ぶのが一般的)を得ようとする構造です。
飛行機の翼と較べると、アスペクトレシオの極端に小さな翼になりますが、姿勢変化が少ないので、大きな翼端板が使用でき、空気の回り込みを遮断、初期には地面との間をスカートで塞ぐという禁止手も使って、効果を高めてました。
この効果が大きかったのですが、今になってみると隘路にはまった技術だったなと思います。
デメリットが大きかったんです。
最大のデメリットは危険性です。
あとは、大きなダウンフォースを受け止めるサスのスプリングがやたらに硬くて、ドライバーが弾んじゃって大変だったとかもありました。
これに近いのが ハイノーズ+ローウィングがじゃないかと思ってます。
これは、フロントウィングを規定の中で最大限に使おうというもので、フロントウィングは位置からして地面に吸い付いていますね。ただ、翼面積がウイングカーに比べれば小さいので、車を飛ばすほどの危険性は少ないですが、やはり飛んだ事故があります。
単独で飛ぶことはないんですが、接触事故と合わさるとやはり危険です。
ハイノーズ+ローウィングは1990年のティレル019 が最初でした。
余談ですが、F1のレギュレーションの中で、「空力的付加物は動いてはいけない」って有名なのがあって、すべての基準みたいに扱われてますが、これは、見なおすべきだと思います。
ていうのも、ウイングカー全盛期にロータスが1981年に出した ロータス88 の事があったからです。
こいつは機械的構造を受けるシャーシとダウンフォースを受けるボディーを分離し、ボディーをサスのアームに付けちゃったんです。
これは、合理的な構造で、当時ウィングカーで問題になってた乗り心地の悪さとバウンドを
(共に強大なダウンフォースを受け止めなくちゃならないので、サスが異常に硬くなってたために起こった問題)
解決するするために考えられたものです。ダウンフォースをボディ-サス-タイヤではなく、ボディ-タイヤとしたので、サスを硬くする必要が無くなるんです。
これが、「空力的付加物は動いてはいけない」ってのに引っかかるからダメと裁定され、走らせてもらえなかったんです。
もともと「空力的付加物は動いてはいけない」ってのは、F1にウィングが登場したての頃に、可動式のウィングも登場し、強度不足で壊れたので、できた規則だったと記憶してます。
今のF1の技術レベルで、強度不足なんて考えられないし、第一必要です。強大なダウンフォースは、立ち上がり加速の時には必要ですが、ストレートエンドでは無用の長物です。
ストレートで車体が火花を出しているのは、ダウンフォースが過剰で車高が下がってしまうからです。市販車が可動式のウィングを持っている時代ですから、もうこんな規則は要らないと思うんですがね~。
ウィングカーを失敗した技術とすると、成功した技術ってなにかなって考えてるんですが、最近のは思い当たらないですね。
初期の ミッドシップレイアウト・モノコック構造 などはF1から車の世界を席巻しましたが、F1オリジナルの発明と言うより、順当な技術の進歩に感じます。
ウィングカーに匹敵する技術要素がそもそも他に無いのかもしれません。
11/10/22 追記
むしろ路面に吸い付く技術自身を規制するべきではないでしょうか?
理由は、文中で述べてますが姿勢変化に対する許容度が低いからです。
吸い付いているかどうかは位置でわかります。翼の進行方向の長さ、縦方向の長さですね。この長さとほぼ同等に翼の上下に翼による圧力変化域が存在します。よって、地面との距離がこれ以下だと吸い付くことになります。
ローウイングはアウトですね。アウトにすべきです、危険ですから。ディフューザーは吸いついてますが、翼と違い飛びません。使っても良いのではないでしょうか?
12/6/12 追記
最近はあまりF1を見てなかったんですが、リヤウイングの取付角度を変えるのは解禁されてるんですね。友人からの指摘で判りました。
当然の判断ですね。
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