受注生産をする工場のフロントに当たる”生産管理”担当者は、工場としての受注の都度、その受注の納期・数量に応えられるかどうかの判断をしなくちゃいけません。
この引当システムが無い工場では、担当者は、すごく手間をかけて調べるか、あるいは経験と勘でか、応えます。1件の受注に半日もかけて答えるってのを許す会社は無いでしょうから、経験と勘ってことになりますはねそりぁね。
引当システムが有れば、答えは1発で出ます。この差は大きいんですが、なかなか経営者には判って貰えないんですよね。
多分、工場で働いている人間の中で最も鬱になりやすい職種が”生産管理のフロントマン”です。
経験と勘が外れちゃえば大問題ですが、かと言って全部調べる時間も無い。なので、無理の効かない部品だけは確認して、あとはまあ大丈夫だとして答えるわけですが、毎日の事ですからそりゃあね、外れることだってある。組み立て始めたら大事な部品が無かったなんて事になっちゃう。
外れた時は大変です。謝っても済まないので、あっちこっちに頼み込む、言い訳をする、の大忙しを失敗したという最低の気分の中でやるわけです。
重なれば、鬱にもなります。
例えば、車の営業さんがお客さんに納期を聞かれて、何かモバイルのような器械に入力し、通信して答えをその場で顧客に伝えますが、この引当システムを使っています。もしくはさらに上位の組み立て計画お知らせシステムみたいなやつをね。
それだってこの引当システムが無ければ、計画倒れになるので必須なんです。
前にも言いましたが、生産管理は本質的には”通訳”に過ぎません。なので本来は、実直な、真面目一方の、融通が効かないような人を、必要なだけ充分な人数を当てて仕事をさせるのが、正しい事だと思います。
ところが悪い事にこの職種に向いてるやつは、皆、口がうまくてお先棒を担ぎたがる私のような奴ばっかなんです。
結局、上司の手間をかけずに工場を運営できるのが、評価される生産管理員って事になるからです。口八丁手八丁の奴は1人で出来るけど、そうじゃない場合2人必要になる。じゃああいつに任せとけっていうわけです。
若い時は良いんです。危ない橋を渡る事、それ自体が楽しかったりしますからね。
それに対外的にはもちろん課長・部長が工場の現場責任者ですが、やばい事が無い時は30歳になったばっかりくらいの人間が、実質的には工場(私の若いころは塗装用のロボットのセクションだったので30人くらい)の部隊を動かすわけですから、やりがいもありました。
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