前回で話しましたが、車のロールコントロールは、アンチロールバーという一本のねじれバネだけが受け持っていて、今思うとショボいものでした。
スポーティーな車は足回りが硬いのが常識です。しかしこのショボさのせいに過ぎず、スポーティーであっても衝撃の吸収=路面への追従性=グリップ向上となって大事なので、ロールコントロールがうまく出来ればもっと柔らかな足回りになるはずです。
バイクのロードレーサーは、ケニー・ロバーツの時代から柔らかな足回りが常識になっていました。
車の場合、バイクよりもすごく広いタイヤの接地面がありますが、タイヤが四角い断面なので、角度を路面に対して垂直にしないと接地面を確保出来ず、これがロールコントロールをより重要にしています。
路面への追従性向上によるグリップ向上より、固いサスペンションのロールコントロールによるタイヤ角度の制御の方が効果が大きいようなのです。
図はダブルウィシュボーンサスペンションです。直進時のタイヤ角度を考えると単純に上下のアームが平行であるべき(アームの延長線が交わるP点が無い状態)なんですが、車はロールするのでロールした時に外側のタイヤが地面に垂直になるよう、少しですが角度が付けられています。
ロールコントロールが重要なのは、判った。じゃあどうすりゃ良いんだって話ですね。
左右輪の動きの差を規制するんですが、やっかいなのは左右の差=ロールではない事。これがイコールなら、ごっついアンチロールバーで事足りますが、左右の差があってもロールしているとは限らないのです。たまたま、片輪が石に乗り上げた時に片輪が穴に落ちている事だってありますからね。
ロールしているときだけ、左右輪の差を少なくするってのがいわゆる「アクティブ」という名がついている「電子制御」サスペンションシステムなのです。
レクサスのアンチロールバーにモーターを組み込んだ物
ググッテ見ると「アクティブサス」ってずいぶんいろいろ市販車に搭載されています。例えば写真のアンチロールバーにモーターを組み込んだ物。アンチロールバーというネジリバネのプリロード調整を可変しようというものですね。
うまく働けば、これが一番直接的でシンプルな良いアイディアだと思いますが、マクラーレンのプロアクティブほどは「賞賛」が聞こえてきません。
おそらく、劇的な効果を出すほど徹底した設計ではないのでしょう。
マクラーレンのプロアクティブは、油圧でダンピング力を可変するタイプのようでした。車高調整よりはエネルギーを使わないので、現実的かもしれません。
また、ダンピング力を変えるのに、ダンパーピストンのオリフィスでは無く、ダンパー内の圧力を変える方法があるのを始めて知りました。
一方、サスペンションレイアウトでもロールしないように、できるんじゃあないかと思えます。
ダブルウィッシュボーンのアッパーアームとロワーアームの中間に車体の重心が有れば、大きくGが掛かってもロールしないはずです。
相当高い位置にアッパーアームピボットを置かなくてはならないので、厳しい設計になりそうですけどね。
最先端なのは、前回でも紹介しました、BOSEの電動アクティブです。金属スプリングすら使わずに、電磁石による位置決めのみでコントロールするタイプだそうで、ジャンプも出来ちゃうらしいです。エネルギーは食うでしょうね。回生もするそうですが。よほど余裕馬力が無いと使えませんね。
レーサーの場合は、ウィングカー以降路面に吸いつく方法でダウンフォースを得ていますので、ロールしないだけでなく車高を低く保つ事も重要で、だからガチガチのサスペンションが必要です。(そろそろLotus88の様な、バネ下に直接ダウンフォースがかかるタイプを認可しても良いのでは?ドライバーが可哀想です。)まあ、サーキットは路面も良いですしね。
でも市販車は違います。グリップのためにも柔らかいサスペンションの方が良いはずです。
方法はどれでもいいんですが、しゃぶしゃぶの柔らかいサスペンションで、でもロールしない、キュッと曲がる車になるはずです。
乗って見たくないですか?
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